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卒業おめでとう

2021年3月8日 11時45分

3月1日に挙行した、卒業証書授与式の式辞を掲載します。卒業生の皆さん、あらためて卒業おめでとうございます。

 春の気配が安達太良山や阿武隈川を優しくつつみ、新しい季節への喜びが感じられるこの良き日に、本宮市長 高松義行(たかまつぎぎょう)様をはじめ、御来賓の皆様、保護者の皆様の御臨席をいただき、令和二年度、福島県立本宮高等学校の卒業証書授与式を挙行できますことは、この上ない喜びであり、皆様に厚く御礼を申し上げます。
 卒業生の皆さん、皆さんは、本校での三年間の努力と成長の証を持って、本日、百六年年間の歴史と伝統のある本校を旅立ちます。本当におめでとうございます。
 また、これまで、お子様をいつくしみ、全力で支えてこられました保護者の皆様にとりましても、お子様が高校卒業という節目を迎えられましたことは、大きな喜びであると御推察を申し上げます。また、これまでの本校への御支援に対し、あらためまして御礼を申し上げます。ありがとうございました。

 さて、本校の教育活動のスローガンでもある「ココで創ろう 君のミライ」ですが、ここ本宮高校で、卒業生の皆さんは、自分自身のミライに繋がる何を創ることができましたか。自分の胸の中で構いませんので、今、三年間を振り返って、確認してみてください。

 授業のことを思い起こした人、修学旅行、檀陵祭、スポーツ大会等の行事が真っ先に頭に浮かんだ人、部活動や校外で経験したことを考えた人、一人一人違いはあると思いますが、自分自身の未来に役立つミライ、美しい蕾づくりが、皆さんの心と身体の中にしっかりと蓄積され、これからの生きる力になることと確信しております。
 そして今、皆さんはそれぞれの新しい未来の入口に立っています。「ココで創ろう 君のミライ」は、「今この瞬間に、この場所で、一人一人が」という意味を込めていますので、これからは、皆さん一人一人の人生のスローガンにして頂きたいと思います。皆さんはこれからも、それぞれが、進学先や就職先のそれぞれの場所で、その時その時に、未来を創っていくことになります。それは、楽しく喜びにあふれることばかりではないかもしれません。しかし、本校での学びにより身に付けた力と、本校の校訓である、「真摯、結束、身命」の真結身(まゆみ)の教えを3年間、常に行動指針としてきたことは、その時その時の難しい状況を解決し、乗り越えていくための、人生の礎(いしづえ)となり、皆さんを支え、未来に向けて前進し続けることに役立つはずです。

 今年度、令和二年度は、新型コロナウイルスに立ち向かう、戦いの年となりました。四月から五月にかけての長期の休業や、三年間の部活動の締めくくりと考えていたインターハイや各種大会、コンクール等が、中止となったり、実施方法を大幅に変更して行われたりと大きく様変わりをしてしまいました。就職活動もスタートが一月ずれたり、今年は誰もが想像することの出来ない、未だかつて無い状況だったと言えるでしょう。そのような中でしたが皆さんは、三年に一度の公開文化祭である「檀陵祭」を、家族だけの限定公開とはなりましたが、さすが三年生と思わせる、創意工夫を懲らした展示やステージ発表、展示発表を行ってくれました。檀陵祭への取組は、とても意義深いものだったと思っております。

 本校の歴史を顧みますと、昨年度も経験しました台風十九号による水害等の自然災害等への対応等が記憶の新しいところですが、学校の存続にも関わるような難しい難局を、その時々の教職員や生徒、保護者や同窓生、地域の皆様方の支えや御尽力により乗り切ってきました。そうした本校の取組は、まさにしなやかなレジリエンスを持った組織であることの証であるとも言えるでしょう。レジリエンスとは、逆境や困難などに直面した際の「ストレスへ絶える能力」や「折れない心」などのことですが、これからの時代を生き抜く皆さんにとって、予想できない困難な課題に果敢に挑戦し、地域などで活躍できるレジリエンスを持った力を身に付けることはとても重要です。今年の新型コロナウイルスへの対応や取組は、必ず皆さんにとって、将来、生涯をとおして役に立つレジリエンスの獲得に繋がるものと期待しています。
 あと十日で、あの東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震から十年の節目を迎えます。創造的復興という言葉が最近よく使われていますが、単なる復旧では無く、新しい創造的な復興を担えるのも、若くこれからの前途有望な卒業生の皆さんだと思います。これからの新しい社会を創ってくれるものと楽しみにしております。

 結びに、本日御多忙の中、卒業生を祝福してくださるためにおいでいただいた、御来賓の皆様、卒業生を支えてこられた保護者の皆様に、日頃の御礼を申し上げ、皆様の御多幸をお祈りするとともに、卒業生が幸せな人生を送り、社会で大いに活躍することを期待いたしまして、式辞といたします。 

 令和三年三月一日 福島県立本宮高等学校 校長 阿部洋己